文系機知人の読書メモ+α

読んだ本の内容とか私見とかをまとめたり関係のないことを垂れ流すやつです。しばらくは人文系多めです

第7回

色々とあって本が読む機会がなかった。

今回読んだのは、

躍動する青春 日本統治下台湾の学生生活

鄭 麗玲 著

河本 尚枝 訳

 1895年、日本は日清戦争に勝利し、台湾とそれに付属する諸島を獲得した。これが日本初の植民地である。

 列強の植民地は往々にして本国に都合の良いように、現地住民に教育を施さなかったり、分断的な政策(代表的なもので言えばインドネシアにおけるオランダの言語の統一的教育を実行しなかったとされるというもの)を行うなど、現地住民が反乱を起こさず搾取されるがままになるようにと統治が行われていた。

 これに対して、日本の植民地政策はこれとは多少異なり、(少なからぬ内地人との格差はあるが)教育を十分に施し、内地延長主義を掲げていたようである。

 台湾にも、旧制小学、中学、高校、大学が次第に設立され、少しずつではあるが内地に近づきつつあった。

 本書ではこのような台湾における学生生活に焦点を当て、台湾でも内地と遜色ないものがあったというものを取り上げている。

 戦前の台湾人に日本人に並ぶ特権が与えられたとは言えないが、日本が台湾の基盤を作りえたということは無視はできないように思われる。