文系機知人の読書メモ+α

読んだ本の内容とか私見とかをまとめたり関係のないことを垂れ流すやつです。しばらくは人文系多めです

第6回

 今回はそもそもの内容からしてかなり重いので一つだけ。

日露戦争諷刺画大全(上・下)

飯倉 章 著

 日露戦争前後まで、諷刺画は写真技術が未発達だということもあって、報道では大きな役割を果たしてきました。当然、必ずしも事実を伝えているとは限りませんが、当時の情報伝達の程度などを鑑みるとなかなかの正確さと編集者達の手腕が発揮されていると言えるでしょう。

 本書では日露戦争にまつわる諷刺画を数多く取り上げ、公式には示されていない各国政府の思惑を考察しており、特定の国家や政治家、そして軍人の当時の評価などについても取り上げていたりします。これらの諷刺画は芸術的な価値を考える必要はなく、当時の人々がどのような背景知識や価値観を持って、情勢を見届けていたのかを知るヒントとなっていたり、時として謎かけのようなものを組み込んでいたりしているため、それを解き明かすといったものも楽しめて大変面白く感じました。

 日本でもこのような西洋で描かれたものの影響を受けて、明治初頭から諷刺画の類が描かれるようになりましたが、僕の知る限りでは比較的わかりやすいものしか見られていない印象があったため、そこら辺はもう少し詳しく見ていきたい所存です。

 

 それにしてもやっぱり自分の興味関心に忠実に本を選ぶと歴史物、特に日本の古代史と近代史しか選びませんね…。もっと偏りなく読めるのが一番なんでしょうが、ここら辺のものって受験日本史が伝えられてないもの、もしくは意図的に伝えようとしていない事柄がたくさんあって、調べれば調べるほどに新しい発見があって面白いんですよね〜。それに日本政府(?)の思惑や経済情勢、他国から見た日本の有様というのも実に興味深いので今後もおそらく日本史関連の書籍ばかり読むことになると思います…。

 次回ぐらいからはもう少し偏りのないように本の選定をしていくように努力します。